公開:2019年12月10日
更新:2025年04月14日
これまで、数学でつまづいたら
「恥ずかしがらずに前に戻ろう」
的な話をしてきました♪
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遠山啓さんの様々な書籍で表現を変えて伝えているのを感じました。
ここでは遠山啓さんの言葉だけに絞って、
「算数・数学ではわからなかったら前に戻ることの大切さ」
の話をまとめていきます!

数学を勉強するのに、まずだいじなことは、わからなくなったら、あともどりして、ふりだしへもどるということです。ふりだしから、もう一回、歩きなおす。教科書の途中がわからなくなったら、もう一回はじめから読んでみる。時間がかかるようですが、じつは、これがいちばんはやいのです。その出発点には、ひじょうにだいじなことが書いてあるからです。
そして、数学はとくべつの人間が考えたのではなくて、ただの人間が考えたのですから、本来はだれにでもわかるはずのものなんです。もちろん、人によって顔がちがうように、ものの考え方はちがいます。ゆっくり考える人もいれば、ひじょうにはやく考える頭の回転のはやい人もいるわけですが、そういうちがいはあっても、とにかく根気よくやりさえすれば、だれにでもわかるようになっています。
『遠山啓著作集 数学論シリーズ0 数学への招待』P249
数学という学問の第1の特徴は、それが体系的にできている、
ということである。
この点が他の学科と違っている。
たとえば、地理などでは関東地方の地形をよく知っていたからといって、
それで東北地方の地形がよくわかるわけでもなく、
また逆に、関東地方の地形を知らなければ、
東北地方の地形を学ぶことができない、
ということもない。
それらはいちおう切りはなしてべつべつに学ぶことができる。
ところが、数学ではいろいろの知識が固く結びついていて、
一つのことを知ると、他のことを知りやすくなり、
また、一つの知識を理解しないと、他のことがらをつかむことができない、
というぐあいになっていることが多い。
たし算を知らずに引き算を知ることはできないし、
かけ算を知らずにわり算を学ぶことはできない。
また、代数を知らずに微分積分の勉強はできない。
つまり、他の学科ではいろいろの知識が平面的に羅列されているのにくらべると、
数学ではそれが立体的に積み上げられている、
といえよう。
ふりだしにもどれ
そこで、複雑なことが出てきてわからなくなったら、どうすればいいかというと、うしろへもどればいい。単純なところまで一回もどるのである。つまり、ふりだしへもどるという心がけがいつも必要です。よく高校生の生徒諸君なんかのなかで、わからなくなると、もっとむずかしい問題をやりたがる人があります。そうして、結局、わからなくなる。そうではなくて、うしろへもどるのです。しかし、そんなことをするのはたいへん時間のむだみたいに考えてもどらない。ところが、うしろへもどるほうが、じつはかえって進歩が早いのです。”急がばまわれ”で、いつもふりだしへもどる。つまり、いちばんはじめは単純ですから、だれでもわかる。そこへもどって、もう一回、出直せば、かならずわかるようになっている。ところが、それをしない。
これは語学も同じだと思うのです。私たちも中学時代に英語を教わったとき、先生が、字引きをひくのをおっくうがるな、字引きをマメにひかなければいけないといった。字引きをひくというのは、単語の意味をしっかりわかれということです。やっぱり、これも一種のふりだしへもどれという教訓だと思います。これを怠ると、語学は、やはり、力がつかない。おそらくいまでも外国語の先生なんかは、そういうことを言われると思います。字引きを丹念にひけ、ちょっとでもわからなかったら、字引きをひけ、そうすると、自分の知らないような意味が字引きに書いてある。そこから新しい解釈をすることができます。
数学はとくにそうであります。これもたいへん平凡なことですが、あまり平凡すぎて忘れられがちです。このことは、数学という学問が単純なことを積み重ねてできているからです。だから、ある意味で、数学という学問そのものが立体的になっている。知識が平面的に散らばっていないで、積み重ねてある。だから、その大事なところの下がわからないと、上が全部わからないということになる。これが数学の特徴であるし、数学ぎらいが出る一つの原因でもあります。つまり、子どもが数学嫌いになるというのは、だいたいそういうところからくるのです。
小学校1年や2年の子どもに、いろんな学科のなかでなにがいちばん好きかと聞くと、数学が好きだという子がひじょうに多いのです。子どもにとって数学というのは、1年生や2年生にたいへんぴったりしている。
答えがはっきりしているし、自力で解決できるからです。ほかのは、なかなかそうはいかない。百科事典をひいたりしなければ、ぜんぶ自力ではわからない。自分で考え出すことがそんなにできない。なんにも教わらないのに、日本の人口がいくらかということを頭のなかで考え出すわけにはいかない。こういうのは、やはり、年鑑をひいたりなんかしなければできません。
数学では、そういうことをすることは少ない。”ない”とは言いませんが、だいたい自力でできる。だから、できたときの成功感がひじょうに大きいのです。ほんとうにできたという感じがする。それから、昨日までできなくても、勉強するとできる。そして、100点がもらえる。要するに、答えがはっきりしていて、自力で出せるというところが1年や2年の子どもに人気があるのです。クラスでいちばんできるような子どもでも、まちがえたら、やはり、100点はもらえない。こういう意味では、たいへん民主的にもできているのです。
ところが、だんだん上へ進むにしたがって数学の嫌いな子どもができるというのは、途中でわからなくなるからです。子どもが1か月くらい病気で休んだという場合、ほかの子は大事なことを教わっているのに、自分にはそこがわからないから、あとは全部わからなくなるという子が出てきます。
私の経験ですが、私は小学校は4年まで田舎の学校で、4年から東京の小学校へうつったのです。そのときに、田舎の学校ではそろばんをやっていなかった。ところが、東京ではやっていた。そこで、そろばんというのは教わらなかったから、どうしてもうまくいかない。私はそろばんの時間のある日は、朝からあまり愉快ではなかった。今でもそろばんは苦手です。
おそらくそういうことに出会うと、子どもはできなくなる。嫌いになる。嫌いになると、ますます勉強しなくなるから、ますますできなくなる。こういうのがずっと積み重なっておとなになると、数学の嫌いな人がたくさんできることになる。だから、途中でつまずいたときにはかならず取り返しておく。借金をつくらない。借金を一度つくると、どんどん利子がふえて、もう払えなくなってしまう。だから、借金の小さいうちに、丹念に払っておく必要があります。
『遠山啓著作集 数学論シリーズ7 数学のたのしさ』 P25・26
”わからなくなったら、ふり出しにもどれ”
数学の本は小説のように読めないものである。読んでいくうちにかならず行き詰まるところに出会う。そのときに、本を投げ出してしまうのでは、もちろん、話にならない。また、気があせってむやみにさきに進もうとしてもいけない。行き詰まったら出発点にもどるのである。ちょうど道に迷ったときのように、そこいらをやたらに歩きまわるよりは、むだ足を覚悟して、自分のよく知っているふり出しにもどって、そこから新しく出なおすのがよい。ふり出しにもどることはいかにもむだであり、まわり道のように思えるかもしれないが、結果において、そのほうがかえって早道なのである。ここでも”急がばまわれ”という格言が当てはまる。
数学の本はたいてい第1ページに基本的な原理がいくつか書きならべてあって、それらの原理を組み合わせて、複雑な事実がつくり出されている者である。つまり、はじめはやさしく、あとにいくほど複雑になっているのである。だから、そのはじまりのやさしいところまでもどるほうが、複雑なことを理解するにはもっともよい方法なのである。
数学を勉強するのに教科書はそっちのけにして、いきなりむずかしい問題集にとりかかって苦しんでいる人がある。そういう人は”わからなくなったら、ふり出しにもどれ”という心得を知らない人である。教科書というものはふり出しのやさしいところしか書いてないものであるから、手に負えないようなむずかしい問題は載っていない。だから、そんなものをいくらやっても、力はつかないように思えるかもしれない。しかし、それは誤りである。
問題はいくらでも新しいものがつくれる。それは無数にあるのだから、いくら問題解いたところで、おしまいになることはない。それよりは、問題を解く土台になっている少数の単純な原理を完全にマスターしたほうが問題を解く力が増すのである。だから、やたらに難問ばかりやるのは賢明な勉強法ではないのである。
また、役に立つのは難問ではなく、むしろ、平凡で、すなおな考え方なのである。そういう意味で、難問ばかりやるのは数学のほんとうの姿をつかむうえではあまり役に立たない。それよりも難問に出会って行き詰まったら、ふり出しの原理にまでもどって、もういちど出なおすようにしたほうがよい。
『遠山啓著作集 数学論シリーズ7 数学のたのしさ』 P249・250
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